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微生物検査室

微生物検査室の仕事

微生物検査室は、感染症の原因となる微生物を対象に原因菌の特定・薬剤感受性試験を行い、その菌に対してどの抗生物質が有効なのかを調べる部門です。

検査項目

血液や尿・便・喀痰などの検体を扱う一般細菌検査、結核菌などの抗酸菌を扱う抗酸菌検査、微生物の遺伝子を増幅してより迅速的で正確な検査を行う遺伝子増幅検査(PCR検査)の3つに分かれて検査を行っています。

一般細菌検査

血液・尿・便・喀痰などのさまざまな検体を分離培養・グラム染色・同定感受性検査に分かれて検査していきます。

分離培養

  • 検体を培地に分離培養している様子

    検体を培地に分離培養している様子

  • 分離培地に発育した菌

    分離培地に発育した菌

検体を培地(寒天に栄養剤などを加えたもの)に塗布します。検体別に使用する培地を変え、より正確に菌を特定できるようにしています。

グラム染色法

グラム染色像

  • グラム陽性球菌

    グラム陽性球菌

  • グラム陰性桿菌

    グラム陰性桿菌

バーミー法で染色します。グラム陽性球菌・桿菌、グラム陰性球菌・桿菌の4種類がどのくらいいるか、どのような菌が推定されるかを顕微鏡で観察していきます。

同定・感受性検査

  • シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社製MicroscanWalkAway 96si

    DxM 1096 MicroscanWalkAway
    ベックマン・コールター株式会社製

  • MicroScan Neg Combo EN 2T

    MicroScan Neg Combo EN 2T

  • 質量分析装置ブルカー・ダルトニク株式会社製

    質量分析装置
    ブルカー・ダルトニク株式会社製

菌の種類を特定することを同定といいます。菌は検体から分離培養した翌日、培地に発育し、質量分析装置を用いて菌のタンパク質から大体の菌を同定することができます。また、薬剤感受性検査は、有効な抗菌薬を検索する検査です。菌種の特定・薬剤感受性検査は用手法、目視判定でも行いますが、主には自動測定機による判定で検査を行っています。菌の発育状況により結果が出るには 2日から6日程度かかります。

当検査室で検出される菌は、感染症を起こすメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や食中毒原因菌のO-157など数十種類に上ります。 その他にも、迅速抗原検査と呼ばれる検査により、ロタウイルス・RSウイルス・A群溶血レンサ球菌などをいち早く検出することが可能です。

抗酸菌検査

ヒトに結核を起こす結核菌をはじめとした抗酸菌感染症の原因菌を検査します。抗酸菌検査は主に塗抹検査、培養検査、同定検査、薬剤感受性検査といった工程を経て検査が行われます。

塗抹検査

  • チール・ネルゼン染色像

    チール・ネルゼン染色像

  • 蛍光染色像

    蛍光染色像

塗抹検査は抗酸菌を染め分けることができる特別な染色を行い、顕微鏡を用いて菌の有無を調べる検査です。

培養検査

培養検査は抗酸菌が発育するのに最適な環境を人工的に作ったもの(これを培地といいます。)に発育するかを調べる検査です。当院では全自動抗酸菌培養装置 BACTEC MGIT960(日本BD社)を使用して検査を行います。抗酸菌の種類やその状態によって発育する日数はそれぞれ異なるため、菌の発育が見られないことを確認するためには6週間かかります。

BACTEC MIGT960日本ベクトン・ディッキンソン社製

BACTEC MIGT960
日本ベクトン・ディッキンソン社製

同定検査

培養検査で発育したものはその菌が抗酸菌であるかどうかを確認します。抗酸菌であれば抗酸菌に属する菌の種類を確定するために行う検査です。

薬剤感受性検査

薬剤感受性検査は検出された結核菌に対して、使用する抗菌薬の選択に際して治療に有効であるかどうかを確認するために行われます。

遺伝子増幅検査(PCR検査)

遺伝子検査は微生物がもつ遺伝子を解析し、より迅速的で正確な検査を行う検査方法です。 当検査室では抗酸菌の検出、結核菌群の耐性遺伝子検出、HIV-RNA量の測定、敗血症のおもな原因菌や薬剤耐性遺伝子の検出を行っています。

血中ヒト免疫不全ウイルス(HIV)‐RNA量

HIV-RNA量は血液中にHIVの遺伝子であるRNA量がどのくらいあるかを調べ、ウイルスの量を数値として表したものです。ウイルス量を測定することでHIV感染症の進行速度、治療中の抗HIV薬の効果や耐性ウイルスが出現していないかがわかります。

ロシュ・ダイアグノスティクス社製COBAS 6800

COBAS 5800
ロシュ・ダイアグノスティクス社製

抗酸菌/結核菌群の耐性遺伝子検出

結核菌群(M.tuberculosis)と非結核性抗酸菌(M.aviumとM.intracellular)の鑑別ができます。抗酸菌の培養検査は結果が出るまでに数週間を要するため鑑別を正確かつ迅速に行うことは大変重要で、1日から2日で結果が得られる遺伝子増幅検査は適切な治療のために有効な検査です。

また全世界では結核の再発と多剤耐性結核菌が出現し問題となっています。こうした中で薬剤耐性の有無を正確かつ迅速に把握することが重要とされています。

  • TRCReady-80

    TRCReady-80
    東ソー株式会社製

  • GeneXpert

    GeneXpert® システムGX-IV
    ベックマン・コールター株式会社製

 

敗血症のおもな原因菌及び薬剤耐性遺伝子群の検出

敗血症は生命をおびやかすことにもつながる感染症です。そのため早期診断、早期治療は大変重要です。
当院では血液培養の陽性判定から3時間以内で原因菌と薬剤耐性遺伝子を検出することが可能な遺伝子検査を導入し、早期の治療のために活用しています。

ウイルスの検出

新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザウイルスやアデノウイルスなどの複数の病原体を同時に検出しています。迅速キットに比べ、少ないウイルス量でも検出することができ、重症化や二次感染を防ぎます。

  • FilmArray

    FilmArray® システム
    ビオメリュー・ジャパン株式会社製

  • LightCycler

    LightCycler® 96システム
    日本ジェネティクス株式会社製

  • リアルタイム濁度測定装置

    リアルタイム濁度測定装置LoopampEXIA 
    栄研化学株式会社製