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国際展開推進事業 ベトナム訪問調査
国際展開推進事業 ベトナム訪問調査(臨床検査・放射線・薬剤部門強化プロジェクト)
NCGMはベトナムにおいて長年にわたり協力を実施しており、現在ベトナムでの喫緊の課題は病院の質管理が挙げられています。特に、院内感染対策、医療安全対策などが必要とされており、臨床検査・放射線・薬剤部門のコメディカルスタッフ能力向上は重要な部分を占めています。今回、厚生労働省国際展開推進事業として、ベトナムの診療放射線技師を当院に招く研修事業を構築する為、ベトナム医療機関の事前調査を2015年6月28日から7月4日までにかけ訪問してきました。
ベトナムにおける保健医療の体制は、第一次(コミューン・郡レベル)、第二次(省レ ベル)、第三次(中央レベル)の下位から上位への三層構造となっています。疾患状態に応じて適切な医療を受けることができる医療機関へと各レベル間で患者を紹介・搬送するシステム、リファラルシステムが存在します。このシステムを運用して、コミューンヘルスステーションが軽度の患者を担当し、上位の医療機関が重度の患者に対応するといった医療機関の役割分担を実現し、効率的な保健医療サービスの提供をめざしています。また、上位機関が、より高度な保健医療サービスを提供し、かつ下位の医療機関への教育指導を行っている状況にあります。しかし現状、上位レベルの医療機関に患者が過度に集中し、中央レベルの拠点病院においては200%近い病床稼働率となるなど、サービスの質の向上と医療システム全体の機能充実が求められています。今回訪問した、ベトナム南部ホーチミン市のチョーライ病院及び北部ハノイ市のバックマイ病院においても、計画病床数に対して、これを大幅に超える患者数があり、院内感染のリスク、医療サービスの質の低下が問題となっており、医療環境の改善が喫緊の課題であることを目の当たりにしてきました。また、放射線機器や画像の品質管理や精度管理手法の構築が早急の課題であることを伺ってきました。
本年度の11月から12月にかけ、当院とチョーライ病院及びバックマイ病院との間で研修事業が計画され実行されます。放射線診療技術部門での研修内容は、要望である品質管理を中心とし、医療安全技術からなる研修を準備しています。特に、チョーライ病院やバックマイ病院の様に至上命題が大きく、日常診療が多忙を極めるスタッフが、無理なく安全放射線医療を運営する為の技術提供を目指します。また、年明けにはスタッフがこれら施設に再訪問させて頂く計画も進行しています。
放射線診療部門では、培ってきた技術・経験を基に研修及び技術提供を行い、世界規模での技術交流及び人材育成を目標として行きます。
診療放射線技師長 谷島
治療精度管理主任 金井