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HIV/AID
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)感染者が増加しています。HIV感染者が日和見感染症を発症すると後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome,AIDS)となります。
HIV感染がありますと眼科領域においてもいろいろな疾患が起こりやすくなります。ただし、HIVに感染してすぐに眼科の病気が起こるわけではありません。CD4陽性Tリンパ球数が減少し、免疫機能が弱まってはじめて眼科の病気が起きやすくなります。CD4陽性Tリンパ球数は、白血球数(/μl) × リンパ球(%)/100 × CD4陽性Tリンパ球(%)/100、で計算されます。健常者は500から1000/μlまで、この値が200/μl未満になると注意を要します。従ってCD4陽性Tリンパ球数が減少してきたら眼科の検査も必要になります。
眼科領域では、網膜微小血管障害(HIV網膜症)、サイトメガロウイルス網膜炎が多くみられますが、その他にも眼部カポシ肉腫、眼部悪性リンパ腫、ヘルペス性眼病変、結核性眼疾患、トキソプラズマ網脈絡膜炎、進行性網膜外層壊死、視神経病変など多彩な眼病変が起こります。HIV感染者の治療としては多剤併用療法(highly active antiretroviral therapy,HAART)が行われます。これによりCD4陽性Tリンパ球数が増加し、免疫機能が回復していきます。
ただし、治療を開始したから眼科的検査が不要になるというわけではありません。免疫機能の回復過程において免疫再構築症候群が起こることがあります。眼科領域においては免疫回復(再構築)ぶどう膜炎(immune recovery uveitis,IRU)が起こり、虹彩炎や硝子体炎などがみられたり、以前の眼病変が再燃したりすることがあります。従って免疫機能が回復してきても、安定するまでは眼科検査が必要です。
まとめますと、HIV感染に関して眼科検査が必要なのは、免疫機能が低下してから、治療により免疫機能が回復して安定するまでの期間となります。その他の期間は全く普通の眼科診療でかまいません。
日本国籍HIV感染者及びAIDS患者報告数累計(血液製剤による感染は除く)
(厚生労働省エイズ動向委員会報告(2008年)より改変)
HIV網膜症非感染性のretinal microvasculopathyです。
サイトメガロウイルス網膜炎
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治療前
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治療後
早期の薬物治療で改善します。
眼瞼カポジ肉腫治療としては薬物療法が基本となります。