トップページ > ペプチド受容体放射線核種療法(PRRT)
ペプチド受容体放射線核種療法(PRRT)
神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor: NET)とは
NETは、ホルモンやペプチドを分泌する神経内分泌細胞に由来する腫瘍で膵臓や消化管、肺など様々な臓器に発生します。NETの細胞の表面には、消化管ホルモンであるソマトスタチンの受容体が多く出現します。NETの診断にはソマトスタチン類似体に放射性物質を付けた薬剤で、ソマトスタチン受容体に結合し、受容体の分布を画像化して診断する検査(オクトレオスキャン)を用います。
→オクトレオスキャンについてはこちら
ペプチド受容体放射性核種療法PRRTとは
NETに対する核医学治療です。治療には、ソマトスタチンの類似体とβ線を放出するルテチウム-177(177Lu)を結合させた、ルテチウムオキソドトレオチド注射液(ルタテラ®静注)というお薬を使用します。このお薬が点滴によって投与されると、ソマトスタチン受容体と結合するため、NETの細胞に強く集まります。腫瘍細胞に集まったルテチウム-177から放出されるβ線により、腫瘍細胞の増殖を抑え、NETの治療が行えます。PRRT治療を行うには特別な準備がされた病室への入院が必要です。
PRRT治療に関して
ルタテラ®静注の投与後、患者さんは身体から放出される放射線量が退出のための定められた基準(退出基準)を下回るまでは、病室から出ることができません。ルタテラが体内に投与されると大半が尿によって速やかに排泄されるため、大半の患者さんは投与の翌日には身体から放出される放射線量が定められた基準値よりも低下し、退院して日常生活を過ごして頂くことが可能となります。退出基準を満たすまでの間、医療従事者や付添人は被ばく防護のために患者さんを直接介助することができませんので、トイレや食事などはご自身で行なって頂く必要があります。また、放射線を含むルタテラは腎臓から尿によって大部分が排泄されるため、一般下水に流すことができません。そのため、入院中は尿を専用の容器で貯める必要があります。
ルタテラの治療の実際
治療スケジュール
治療は8週間おきに最大で全4回実施するため、すべての治療が終了するには約6ヵ月間を要します。
入院について
- 投与の前日に入院して頂きます。 入院する病室は特別措置病室(養生等を行っている部屋)になります。 特別措置病室はベットサイドに放射線を遮るための鉛の板(遮蔽板)が設置されています。また、放射線による汚染を防止するため、養生をさせて頂いています。
- 尿の取扱いについての説明・練習をします。
※放射線を含むルタテラ®静注の多くが尿から排出されるため一般下水に流すことができません。そのため、入院中は蓄尿が必要となります - 投与当日に吐き気止めの薬を内服します。(12:00頃)
- 検査室へ移動します。(12:15頃)
検査室も病室と同様に、遮蔽板を置き養生します。 - 担当医師がライザケアという腎臓を保護するためのアミノ酸輸液を投与するため、腕に点滴の針を入れます。
- ライザケアの点滴を開始します。その次に逆の腕の血管に針を入れ、ルタテラ投与のための点滴を準備します。
- ルタテラを30分かけて点滴で投与します。
- ルタテラ投与側の点滴の針を抜針します。
- 医療従事者と病棟へ戻ります。放射線量が退出のための定められた基準値を下回るまでは個室でお過ごしいただきます。また、入室中(放射線量が基準を下回るまで)は排尿の際には蓄尿を行って頂きます。
- ライザケア投与終了後(おおよそ4時間後)ルタテラが病変部分に集積していることを確認するための画像検査を行います。医療従事者が病室まで迎えに行きます。
- ルタテラの投与の夕方、もしくな翌日の朝に放射線の線量測定を行い、線量が退出基準以下になれば退院となります。
*放射線量が基準値より高い場合は退院が延期になる可能性があります。
退院前に、ルタテラが病変部分に集積していることを確認するための画像検査を行います。
主な副作用について
副作用には、以下のものがあります。
*事前に制吐剤をルタテラ投与前に服用していだだきます
治療関連サイト
詳しく知りたい方は、以下の参考資料をご覧ください。
ルタテラ®で治療を受ける患者さんとご家族の方へ/ノバルティスファーマ株式会社HP
臨床研究に関するお知らせ
国⽴研究開発法⼈ 国⽴国際医療研究センター病院 放射線核医学科では、別途リンクにご説明する研究を⾏います。この研究への参加を希望されない場合には、研 究不参加とさせて頂きますので、下記のお問い合わせ先にお申し出ください。 お申し出になられても、いかなる不利益も受けることはございませんので、ご安⼼ください。詳細につきましては情報公開文書をご確認ください。