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放射線治療について
放射線治療とは
放射線治療は、外科療法や化学療法と共にがん治療を支える3本柱の1つです。
その目的は、がんの根治を目指す治療や、症状緩和を目指す治療などで、目的により治療の方法を選択します。比較的病巣が小さい場合など病状によっては、放射線治療単独でもがんを治癒させることが可能です。
放射線治療の最大の特徴は、他の治療方法より低侵襲で、体への負担が少なくて済む事が挙げられます。
また、切除することなく治療が可能であり、機能及び形態の温存にも優れています。そのため、生活の質(QOL)を保ち、治療を行うことができ、働きながら治療を受けられる方もいます。さらに、他の治療法
より社会復帰も早いとされています。高齢者の方、過去の治療歴から手術や薬物療法が難しい方にも放射線治療が選択可能な治療法になることもあります。
しかし、身体に放射線を照射する場合、その範囲(放射線が体内を通る経路)において正常な臓器にも影響を与えます。この影響をより小さくするために、線量、照射方法を工夫することにより、正常組織には大きな影響を与えず、がん病巣に対してダメージを集中させ、治療を実施します。
実際の放射線治療
リニアックを用いて体外から放射線を照射する治療においては、週に4回もしくは週5回で施行されることが一般的です。がん腫によっては1日2回、朝と夕に放射線治療が施行されることがあります。当院で放射線治療に用いられる放射線は、リニアックから出力されるX線と電子線です。患者さんの体格や病巣の位置により、数種類のエネルギーを使い分け、治療を実施します。1回の放射線治療では2グレイ程度の放射線が投与されるのが標準的です。グレイ(Gy)とは放射線の単位です。その放射線を照射するのに必要な時間は1~2分程度です。患者さんの体勢をいつも同じ様にして放射線治療をするために、体表面にマーキングをさせていただき、位置を合わせ、その後画像を撮影し詳細に位置合わせをします。位置合わせから照射終了まで15分程度の時間がかかります。遠方の患者さんで通院が難しい場合や体力的に毎日の通院が難しい場合、抗がん剤投与も必要な場合には入院をしていただく場合もあります。
放射線治療の流れ
次のような流れで放射線治療を行わせていただきます。
①診察
当科を受診した際には、治療内容、方針等に関して医師がご説明します。診察には十分なお時間を確保しておりますので、遠慮なくご相談ください。
②治療計画用CTの撮影(固定具の作成)
放射線治療を実施するにあたり、放射線を照射する範囲や方向を決定し、どれくらい放射線が照射されるかを見積もるために綿密な計画を立てます。治療する部位や、照射する方法により、体勢や固定具を決定いたします。治療の際には、CT撮影時と同様の体勢を再現し、実施します。治療室で体勢を再現するために、お体に何ヶ所かマーキングをします。また、体勢に無理が生じない最善の方法を取りますので、痛みや不具合等ございましたらお申し出ください。
場合により、図のような固定具(マスク等)を作成することがあります。作成にかかる時間はおおむね15~30分程です。照射する部位を精密に合わせ、精度よく治療をするために大事なアイテムになります。
③治療計画の作成
CT画像(②で撮影)等を基に、放射線治療計画を作成します。照射方法と治療回数等から線量(分布)を計算します。強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRTまたはSBRT)では、計算時間が通常の治療方法より多くの時間を必要とします。
④治療計画の検証
計画された治療方法の検証を行います。
計画どおりに放射線が照射されるか、特殊な検証用機器を用いて入念な確認を行います。
⑤ポジショニング、画像照合
治療計画用CT画像(その時の体勢)を基に、ポジショニング(体勢の調整)を行います。CT撮影時に体表面に描いたマークと治療室内のレーザーを合わせます。
(レーザーは医療現場で使用される安全なものです。)
ポジショニング終了後、最終的な位置の微調整を行うため画像を撮影します。この位置合わせでは、数ミリ単位での調整を行います。(この方法は画像誘導放射線治療(IGRT)と呼ばれています。)
⑥治療(照射)
放射線を照射する直前に再度治療データに誤りがないか確認の読み合わせを行い、照射します。
⑦カンファレンス
放射線治療に関わるスタッフで定期的にカンファレンスを実施し、照射部位、照射方法の確認、治療計画変更の必要性、治療中の体調を含む状況の変化などの情報共有を図り、最適な放射線治療方法を決定しています。
⑧定期診察
治療期間中、定期的(週1回程度)に診察を行い、患者さんの様態や治療部位の確認をさせていただきます。
外来放射線治療について
他の病院や他の診療科から当院の放射線治療科に紹介された患者さんは、まず放射線治療外来で診察を行います。患者さんの病気の経過を把握し、放射線治療が患者さんの病気の治療に役に立つかどうかを判断、決定します。今まで診察されていた病院、診療科でもお話されたことを、放射線治療医が繰り返して確認することがあります。正確な病状の把握のためなのでご協力をお願いします。必要な検査がある場合には、適宜追加することもあります。