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消化器がんの薬物療法(抗がん剤)について

【概要】

消化器がんの薬物治療を主に行っています。周術期化学療法から切除不能・再発例に対する化学療法まで幅広く行っています。最新の知見に基づきながら、個々の患者さんの状態に合わせた最適な治療を心がけています。また、治療を進めるにあたって、患者さんご自身に病状を十分に理解していただいた上で進めることを大切にしています。

消化器がんでは、化学療法だけでなく、手術や放射線治療などと化学療法を組み合わせて治療することがあります。大腸閉塞や閉塞性黄疸など、がんに伴う合併症を生じることも多々あります。科内の他チームや外科・放射線治療科・緩和ケア科などの他診療科と密に連携をとり、個々の患者さんの病態に応じた包括的な治療を目指して診療しています。

退院後の生活においても、院内の退院支援看護師やソーシャルワーカーと協力し、地域の医療機関や訪問診療医とも連携しながら、患者さん一人ひとりにとって最適な終末期の過ごし方を考えていきます。

消化器がんに対する化学療法(全般)

薬物治療は副作用が問題となることが少なくありません。初回の薬物治療は副作用の確認のために基本的に入院で行っています。入院中に医師が毎日診察を行い、副作用の有無を確認します。副作用が現れた際には、適切な対応を迅速に行います。初回の抗がん剤投与後、1週間程度入院継続し、副作用が問題ないことを確認してから退院としています。

2回目以降の化学療法は外来通院で行います。外来治療センターの看護師や薬剤師と連携しています。

化学療法の大きな目的はがんの進行を抑え、症状を改善し、生活の質を維持することです。化学療法による副作用を抑えながら、継続して治療していけるよう医療者一同でサポートしていきます。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫療法とは、従来の抗がん剤とは異なり、自身の免疫を活性化させることでがん細胞を攻撃させる治療方法です。近年では免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が消化器がん(肝臓がん、胆道がん、胃がんや一部の大腸がんなど)でも標準治療となってきています。一方でICI特有の様々な副作用が発生する可能性があります。当科は院内のICIチームに参加し看護師、薬剤師、他診療科と連携しており、副作用発症時に迅速な対応が出来る体制があります。

大腸がん

大腸がんの標準的な薬剤として、5-FU(フルオロウラシル)やカペシタビン、オキサリプラチン、イリノテカンなどが用いられます。またベバシズマブなどの分子標的薬の併用や、RAS/BRAF遺伝子変異に応じてセツキシマブ、パニツムマブなどの分子標的薬を併用することがあります。

また、大腸がんの一定数において、MSI high(高頻度マイクロサテライト不安定性)という特徴が検出されることがあり、その場合にはペムブロリズマブ(キイトルーダ<>、抗PD-1抗体)が適応となります。

腹膜偽粘液腫

腹膜偽粘液腫は、典型的には虫垂の腫瘍が破裂して腫瘍細胞が腹腔内に散らばり、細胞が産生する粘液が腹腔内に貯留する稀な疾患です。当院は腹膜偽粘液腫に対する専門治療を行っている国内でも数少ない施設の一つであり、全国から患者さんが集まっています。消化器内科では、大腸肛門外科と連携し、腹膜偽粘液腫に対する抗がん剤治療(原発巣に準じたレジメンの選択)を含めた包括的診療を行っています。

胆道がん・膵がん

切除不能症例に対する化学療法の他、外科的切除可能や境界症例に対する化学療法を行っています。また、JCOG肝胆膵グループに参加し、臨床試験に取り組んでいます(https://jcog.jp/org/group/hbpog/)。

胆道がん(肝内胆管がん、胆管がん、胆嚢がん)の標準的な薬剤として、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1などを用いて治療します。また、デュルバルマブ(イミフィンジ、抗PD-L1抗体)やペムブロリズマブ(キイトルーダ、抗PD-1抗体)といった免疫チェックポイント阻害薬も切除不能症例に対して適応となりました。切除不能膵がんではゲムシタビン+ナブパクリタキセルや、FOLFIRINOX、5FU/nal-IRIなどの治療があります。BRCA遺伝子変異陽性の患者さんに対してオラパリブが適応となることがあります。