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食道外科

肥満外科手術について

糖尿病に対する腹腔鏡下スリーブ胃切除

1. はじめに

肥満症とは、肥満に関連して発症する健康障害があり、医学的に減量が必要な状態とされています。肥満に関連する健康障害とは、糖尿病や脂質異常症、高血圧、高尿酸血症などがあります。例えば、糖尿病は血糖を下げるインスリンというホルモンが十分に働かない、もしくは不足しているために血液中の糖が増えてしまう病態をいいます。この状態を無治療のまま放置すると、心筋梗塞や脳梗塞などの緊急性の高い病気や、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害が起こるリスクが高くなります。高血圧や脂質異常症なども、それに関連して心筋梗塞などの疾患を招くリスクがあり、肥満症を治療することは大切なことだと考えています。
肥満外科手術は、食事療法や運動療法などでも改善しない肥満症に対して手術で改善を目指す治療です。全世界では、すでに60万件以上の肥満外科手術が行われており、減量のみならず肥満に関連する健康障害への効果が報告されています。

2. 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術

当院では、2019年5月より肥満を伴う糖尿病の患者さんを対象に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を開始いたしました。
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、胃をスリーブ状(袖状)に細くすることで、経口摂取量を下げ肥満症の改善を目指します。当院では、肥満症の中でもインスリンや内服薬などの内科的治療でも改善しない糖尿病をもつ患者さんを対象にこの治療を行っています。この手術では、胃を細く形成することで胃の貯留量が100~150ml程度に少なくなるため、食事摂取量を減らし肥満症や糖尿病の改善を目指します。手術の方法は、全身麻酔下にお腹に穴を明けてポートと呼ばれる器具を留置し、そこから腹腔鏡や手術の道具を挿入して行います。手術時間は、状況により異なりますが、およそ3-4時間程度です。術後の経過は患者さんの状態により異ることがありますが、およそ7日から10日ほどの入院が必要です。

3. 肥満外科手術に対するチーム医療について

一般に糖尿病を持つ患者さんは健康な患者さんより手術のリスクは高くなるため、この治療については医師だけでなく多職種による診療がより重要になります。当院では、医師(内科、外科、麻酔科、集中治療科、精神科、リハビリテーション科)、看護師、管理栄養士、臨床心理士、社会福祉士などで構成する肥満治療チームが患者さんを総合的にサポートいたします。この手術は糖尿病治療の一環として行いますので、糖尿病内科医の指導の元で治療の時期やその適応を慎重に判断する必要があります。手術の前には一度内科へ入院していただき、体重の減量や全身状態のチェックを行います。その結果を検討したうえで、適応がある患者さんのみに手術を受けていただくことになります。この経過中に、管理栄養士や臨床心理士などが患者さんとお話しさせていただきます。術後は退院した後もしばらく食事内容や量の調整が必要になりますので管理栄養士の指導に従っていただきながら長期的な通院が必要となります。

4. 当院の治療をご希望の方へ

当院では臨床試験としてこの術式を採用しております。費用面や手術の適応を含め、一般の保険診療とは異なりますので詳細は肥満外来、もしくは主治医にお尋ねください。
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日本における高度肥満症に対する安全で卓越した外科治療のためのガイドライン(2013 年版)より

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