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JPTEC

(1)JPTECとは

JPTEC(Japan Prehospital Trauma Evaluation and Careが誕生した経緯は、これまでの外傷に関する研究から、傷病者が死に至るまでの経緯や病態が解明されており、容態の悪化を防ぐための救護法が適切に施されなかった場合には防ぎえる外傷死(Preventable Trauma Death:PTD)に陥ることが指摘されています。さらに、重症外傷傷病者に対して早期に救命のための処置治療を行う必要があることから、救急隊には限りある時間のなかで的確かつ迅速な活動が求められていることが明らかになりました。これらの概念に基づいてJPTECが生まれました。
JPTECは、我が国のすべての病院前救護にかかわる人々が習得すべき知識と体得すべき技能が盛り込まれた活動指針で、生涯教育のプログラムとして活用できる内容として構成されています。
当院では平成27年度からプロバイダーコースを毎年開催しており、COVID-19の影響で中止になる年もありましたが令和4年度までに4回開催されてきました。令和5年2月から当院も東京DMAT指定医療機関に指定され、病院前救護にさらに深くかかわることになりました。今後は年2回感染対策を徹底してプロバイダーコースを開催していくことを目標に取り組み、病院前救護に関わるすべての人々と共通認識をもち、病院前においても安全且つ適切に医療を提供できる人材を育成していきたいと思います。

(2)プロバイダーコース受講資格

  1. 消防吏員
  2. 消防吏員以外の救急救命士
  3. 医師
  4. 歯科医師(救命救急センター又は救急病院の救急部門に属する者に限る)
  5. 看護師及び准看護師
  6. 診療放射線技師、臨床検査技師及び薬剤師で、災害医療派遣業務に従事するもの
  7. 警察官、海上保安官及び陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の自衛官で救急業務、救助業務又は災害医療派遣業務に従事するもの
  8. 救急救命士法第34 条第1号から第3号までの規定に基づき救急救命士の受験資格を得ることができる学校若しくは救急救命士養成所、大学医学部又は看護学部及び看護学校(准看護学校を含む)の学生又は生徒で最終学年に属しているもの

(3)プログラム内容

座学の学習内容

  1. 外傷総論 外傷の疫学、JPTEC(ロード・アンド・ゴー)の概念、外傷システム
  2. 観察処置総論 外傷傷病者の観察処置の流れ、デモンストレーションと解説
  3. 観察処置各論 状況評価、初期評価、全身観察、局所観察、詳細観察、継続観察

実技の学習内容

  1. 観察要領 初期評価~全身観察~詳細・継続観察
  2. 気道管理
  3. ヘルメット離脱
  4. 頸椎カラーの装着
  5. ログロール
  6. 腹臥位からの)体位変換
  7. バックボード固定
  8. 緊急処置 フレイルチェスト、開放性気胸、腸管脱出、穿通性異物、骨盤骨折、止血
  9. 車外救出
  10. シナリオ・ステーション 状況評価から詳細・継続観察まで

(4)コースの様子

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全身固定での気道管理実技(2018年)

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バックボード固定実技(2023年)

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車外救出実技(2018年)