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呼吸器外科ご紹介
国立国際医療研究センターの呼吸器外科は、旧国立療養所中野病院の伝統である炎症性肺疾患への対応はもちろんのこと、肺癌、縦隔腫瘍、気胸、膿胸、肺真菌症、非結核性抗酸菌症、胸部外傷など、特定の疾患にとらわれず、ほぼ全ての呼吸器外科分野に対応しております。まずは胸部レントゲン異常陰影の精査からで結構です。当科を窓口としてお気軽に申しつけください。幅広く先生がたのお役にたてるよう努力してまいります。
2024年の当院呼吸器外科における手術の内訳
低侵襲手術について
ロボットや胸腔鏡を使用した低侵襲手術は全体の80%以上で行われており、可能な限り患者さんに負担の少ない手術を心がけております。特にロボット支援下手術を積極的に取り入れており、2020年8月に開始して以降、年々その施行数は増加傾向にあります。2024年は、肺癌に対する解剖学的切除(肺葉切除および区域切除)の92%をロボット支援下に行いました。また、縦隔腫瘍においてはほぼ全例ロボット支援下に手術を行っております。常勤医師は全員ロボット手術の術者資格を有しており、内2名はロボット手術プロクター(指導医)資格があります。これまでに、ロボット支援下手術数は300例を超えており 開胸や胸腔鏡への移行は1件もありません。
ロボット支援下/胸腔鏡下手術数の推移
ロボット支援下手術について
肺葉切除ないし区域切除を必要とする肺癌、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍(炎症性肺疾患含む)に対しては、患側(右肺癌なら右側)の側胸部に8mmの創3か所と12mmの創2か所(合計5か所)をおいて手術を行っています。肺を取り出す際には、12mmの創1か所を少し延長して摘出します。区域切除では約2-3cm、肺葉切除では約3-4cmの傷で肺を取り出すことができます。すべての傷は基本的に抜糸の必要ない吸収糸で縫い閉じます。
縦隔腫瘍は、腫瘍の位置によってポート配置が異なりますが、基本的には患側の側胸部に8mmの創3か所と12mmの創1か所(合計4か所)をおいて手術を行っています。腫瘍が大きければ必要に応じて12mmの創1か所を少し延長して摘出します。
重症筋無力症に対する拡大胸腺摘除術や一部の胸腺腫の手術では、剣状突起下(上腹部正中)に2-3cmの創1か所と8㎜の創3か所(右胸部2か所、左胸部1か所)の合計4か所で手術を行っております。
ロボット支援下手術の実際
左図:肺癌に対するロボット手術の傷( 術直後、 左側)
右図:肺癌に対するロボット手術の傷(1か月後、左側)
胸腔鏡下手術
気胸、膿胸、肺部分切除などにおいては、5 mmの創2か所と10-15 mmの創1か所で行う3ポートでの完全胸腔鏡下手術をほぼ全例で行っております。
また、肺葉切除や区域切除においても、患者様のご希望や日程などによって胸腔鏡下手術を行う場合があります。その場合は、5 mmの創2か所と10-15 mmの創2か所(合計4か所)で手術を行っており、肺を取り出す際には、10-15mmの創1か所を少し延長して摘出します。区域切除では約2-3cm、肺葉切除では約3-4cmの傷で肺を取り出すことができます。ロボット手術と同様、すべての傷は基本的に抜糸の必要ない吸収糸で縫い閉じます。
当科ではロボット支援下手術に力を入れてはおりますが、胸腔鏡下手術は手術時間・出血量・合併症の頻度などにおいてロボット手術と比較して遜色ない成績です。
胸腔鏡下手術の実際
肺部分切除時の胸腔鏡手術の傷(術直後、右側)
おしらせ
- 2024年7月
- 当科医長 長野匡晃がBest Doctors in Japan 2024-2025に選出されました
- 2022年9月12日
- 当科では、2020年8月下旬にロボット手術を始めて、約2年になりますが、早くも100例到達し、内視鏡手術支援ロボット分野におけるダビンチサージカルシステムの開発、製造、販売等を手掛けるintuitive社から、記念の盾をいただきました。これまで、開胸や胸腔鏡への移行率は0%で1例もありません。