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2015年度診療実績
入院患者統計
2015年度における当科の入院のべ患者数は年間1619名、その内訳は肺癌36.9%、呼吸器感染症(結核以外)12.7%、肺抗酸菌症16.1%、アレルギー免疫疾患7.7%、閉塞性肺疾患7.4%、拘束性肺疾患5.6%、胸膜疾患5.8%、呼吸不全3.8%などとなっています。2015年度の入院患者数は84.8名/日(一般51.4名、結核33.4名)、外来患者数は96.7名/日(初診4.4名、再診92.3名)です。平均在院日数は一般呼吸器で14.8日であり、病院全体の平均よりやや長くなっています。当院には結核病棟があるため、結核外来には結核患者およびその疑い患者が紹介されますが、検査の結果として結核以外の疾患と診断されることも少なくありません。結核外来では迅速かつ的確な診断が要求されますが、一方では都内各所からあるいは他県からもご紹介いただくため、呼吸器内科全体の入院患者の確保にも貢献しています。
従来から特殊検査として局所麻酔下胸腔鏡を施行しており、昨年の2月からは重症難治性気管支喘息患者に対して気管支サーモプラスティを開始していましたが、最近、気管支動脈塞栓術も始めました。今後、さらに呼吸器インターベンションに注力していきます。
表1 呼吸器内科入院患者の疾患別統計 2015年4月から2016年3月まで
疾患群 | 疾患名 | 延べ人数 | |
---|---|---|---|
呼吸器感染症(非結核) | 肺炎 | 145 | 205 |
肺化膿症、肺膿瘍 | 15 | ||
膿胸 | 6 | ||
気管支炎 | 11 | ||
縦隔炎 | 1 | ||
インフルエンザ | 3 | ||
真菌症 | 19 | ||
ニューモシスチス肺炎 | 5 | ||
肺抗酸菌症 | 肺結核/肺外結核 | 231 | 260 |
非結核性抗酸菌症 | 21 | ||
陳旧性肺結核 | 8 | ||
閉塞性肺疾患 | COPD | 103 | 120 |
気管支拡張症/慢性気管支炎 | 17 | ||
拘束性肺疾患 | 間質性肺炎/肺線維症 | 73 | 91 |
BOOP/器質化肺炎 | 15 | ||
放射線肺臓炎 | 3 | ||
アレルギー・免疫疾患 | 気管支喘息 | 105 | 124 |
好酸球性肺炎、PIE、ABPA | 4 | ||
サルコイドーシス | 6 | ||
薬剤性肺炎 | 4 | ||
過敏性肺臓炎 | 5 | ||
肺腫瘍 | 肺癌 | 590 | 597 |
縦隔腫瘍 | 3 | ||
その他 | 4 | ||
肺循環疾患 | 肺塞栓症/肺梗塞 | 8 | 14 |
肺高血圧症 | 6 | ||
胸膜疾患 | 胸膜炎 | 5 | 94 |
癌性胸膜炎 | 19 | ||
結核性胸膜炎 | 27 | ||
気胸 | 22 | ||
悪性胸膜中皮腫 | 21 | ||
呼吸不全 | 慢性呼吸不全 | 46 | 61 |
急性呼吸不全 | 12 | ||
睡眠時無呼吸症候群 | 3 | ||
その他 | 胸部異常陰影 | 11 | 53 |
喀血/血痰 | 11 | ||
胸水 | 11 | ||
気管支狭窄 | 8 | ||
血管炎・膠原病 | 5 | ||
無気肺 | 1 | ||
その他 | 6 |
(複数回入院、重複症例あり)
図1 呼吸器内科 入院患者(2015年度)総計1619例
表2 結核病棟入院患者数(2015年度)
臓器別 | 入院患者数 | |
---|---|---|
肺結核 | 肺結核 | 172 |
(多剤耐性結核) | 3 | |
肺外結核 | 結核性胸膜炎 | 23 |
粟粒結核 | 9 | |
気管支結核 | 7 | |
中枢神経結核 | 4 | |
骨・関節結核 | 3 | |
リンパ節結核 | 2 | |
心膜結核 | 2 | |
結核性髄膜炎 | 2 | |
皮膚結核 | 2 | |
結核性膿胸 | 1 | |
腸結核 | 1 |
(一部重複あり)
局所麻酔下胸腔鏡検査
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9件 | 20件 | 11件 | 16件 | 20件 | 13件 | 27件 | 22件 |
2015年度
局所麻酔下胸腔鏡 22症例
肺癌 胸膜転移 8例
結核性胸膜炎 5例
非特異的胸膜炎 4例
悪性胸膜中皮腫 3例
乳癌 胸膜転移 1例
膿胸腔掻把術 1例
気管支鏡検査
主に胸部レントゲン上の異常陰影の診断目的に行います。一言に「胸部異常陰影」と言っても、様々な原因で起きるためです。検査は喉に局所麻酔薬を噴霧した後に口から径5mm前後の太さの気管支内視鏡ファイバーを挿入します。検査中の苦痛を軽減する目的で、当院では鎮静剤を用いて行います。気管および気管支の粘膜所見を観察し、必要に応じてレントゲン異常のある場所から、診断のための処置(洗浄、ブラシ、生検など)を行って検体を採取します。この検体から細菌学的・病理学的検査を行い、総合的に診断します。
診療実績
別に挙げる表の様に、年間約400件程度の気管支鏡検査を行っております。当院では肺野末梢の陰影に対しては症例に応じて、検査前に64列マルチスライスCT撮影によりバーチャル気管支鏡を作製し、シースガイド下超音波法(EBUS-GS法と呼ばれます)を併用します。これらにより末梢小型病変の診断精度が高まります。中枢気道病変や縦隔リンパ節腫大に対しては、リアルタイムに超音波を見ながら針穿刺吸引法を行い、正診率を上げています(EBUS-TBNA法と呼ばれます)。びまん性肺疾患の診断目的には気管支肺胞洗浄(BAL)、経気管支肺生検(TBLB)を多数施行しています。診断目的以外に気管支サーモプラスティ、異物除去、気管支拡張術、腫瘍焼却術(APC、スネア、ホットバイオプシー)、金属ステント留置、EWSによる気管支充填術などの治療気管支鏡も行っております。(ただし、硬性気管支鏡は扱っておりません。)特に重症喘息患者に対する気管支サーモプラスティ治療は、2015年より保険収載となった最新の非薬物療法であり、全国でも限られた施設でしか施行できません。当院では経口ステロイド薬や抗IgE抗体を使用していても増悪のある最重症の喘息患者に対し本治療を行い、約7割の患者で治療効果が確認されています。現在、東京だけでなく全国各地から患者が集まり、全国一の治療件数です。
また先にも述べましたが検査時の苦痛を和らげるために、点滴より鎮静剤投与を行っております。この投与の量や方法については患者の皆様のご協力を得て臨床研究を行い、安全かつ十分な鎮静方法を検討することができました。2名の気管支鏡指導医、3名の専門医の下で、気管支鏡検査前にカンファレンスがあり、安全性の評価や必要な手技の確認、どの気管支からどのように診断していくかなどを皆で議論し、より安全かつ有意義で時間を短縮した検査になるよう努めております。
以上の様に豊富な経験を有し、かつ患者さんの苦痛軽減に努めております。病気を指摘された上に聞きなれない検査をすすめられてさぞ御不安のことと存じますが、以上のご説明で不安が少しでも和らげば幸いです。
気管支鏡検査、処置内訳
臓器別 | H25年度 | H26年度 | H27年度 | |
---|---|---|---|---|
全体件数 | 469 | 311 | 382 | |
中枢診断 | 直視下生検 | 42 | 29 | 29 |
EBUS-TBNA | 26 | 23 | 21 | |
穿刺吸引 | 2 | 2 | 2 | |
AFI観察 | 2 | 0 | 1 | |
末梢診断 | EBUS-GS下生検 | 162 | 112 | 155 |
BAL | 58 | 38 | 65 | |
TBLB | 53 | 41 | 64 | |
治療 | 気管支サーモプラスティ | 0 | 5 | 31 |
バルーン拡張 | 2 | 0 | 2 | |
ホットバイオプシー | 7 | 1 | 1 | |
APC | 4 | 1 | 1 | |
高周波スネア | 3 | 0 | 1 | |
異物除去 | 5 | 3 | 3 | |
ステント留置 | 0 | 0 | 1 | |
気管支充填術(EWS) | 1 |
超音波写真(上)<EBUS-GS>異常陰影のある場所にエコーが入っており、ここから処置を行えば診断がつくことが分かります。
超音波写真(中)<EBUS-TBNA>狙ったリンパ節の中に針が入っていること、血管が近くにあってもきちんと避けていることをリアルタイムに確認しながら検査を行えます。
内視鏡写真(下)<気管支サーモプラスティ>気管支内でバスケットを開き65℃で通電治療します。
腫瘍性疾患
のべ入院 677名
内訳
【性別】
【年齢】
【癌種】
【肺癌組織型】
【ステージ】