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診療実績

概要

総合病院における歯科・口腔外科としての役割を果たすため、院内外の有病者に対する歯科治療およびデンタルインプラント、外傷手術、顎矯正手術などの口腔外科的治療を行っています。また、各科における治療の特色を理解し、手術や化学療法予定の患者を対象とした周術期口腔機能管理についても積極的に行っています。NST、RST、緩和ケアラウンドなどにも参画し、チーム医療の推進を図り他科との連携を深め、院内のニーズにも応えるべく診療を行っています。

地域医療においては口腔外科の高度専門医療施設として、開業医では対応困難な抜歯や顎関節症、デンタルインプラントを始めとし、顎変形症患者や顎顔面外傷に対する手術などを行い、新宿区内外の歯科および医科より多数の紹介患者を受け入れています。

また、当科にて高難度新規医療技術として行われていた“Nd-YAG(ネオジウム・ヤグ)レーザー組織内照射法を用いた顎顔面血管腫に対する減量術”を保険収載するよう働きかけ、2018年度より “口腔粘膜血管腫凝固術”として保険導入されました。切除などの従来の治療法に比べ、低侵襲で術後の審美障害が少ない点で優れた治療法です。近隣の口腔外科、形成外科などから多数のご紹介を頂いており、引き続き症例数は増加傾向にあります。

診療内容および実績

2020年度は4月7日の政府による緊急事態宣言に始まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応に追われた1年でした。当初はマスクなどの医療物資の全国的な不足もあり、不要不急の診療の制限を行った結果、4~5月は極端に患者数が減少しましたが、その後は患者数も回復しています。感染対策を徹底しながら診療を行っていくことで、当科スタッフから一人の感染者も出すことなく1年を乗り切ることができました。

外来診療

(1)新患受診状況(図1)

新患受診状況を図1に示す。新患数は2187人で昨年度より450人程度減少しました。
院内他科からの紹介は1494人(68.3%)と、昨年度より190人程度減少しているが、割合としては例年と変わらず、新患数の半数以上を占めています。これには院内他科の手術予定患者に対する周術期口腔機能管理を積極的に行っていることが影響していると考えられます。
歯科医院からの紹介は503人(23.0%)であり、昨年度より160人程度減少した。医科医院からの紹介は99人(4.5%)と前年度よりわずかに減少しました。

図1 新規患者内訳 総数2187人
新患患者内訳

(2)初診時診断(図2)

外来初診患者の疾患別分類を示す。2187例であり、もっとも多いのは歯の疾患(1735例、79.3%)であり、この中には歯科的疾患はもとより、口腔内の感染チェックや口腔ケア、周術期口腔機能管理などの依頼885例(重複あり)が含まれています。次いで、口腔扁平苔癬や白板症などの口腔粘膜疾患83例(3.8%)、先天異常・発育異常69例、骨折や歯の外傷および顎関節症などの顎関節疾患59例(2.7%)と続いた。総数は多少減少しましたが、疾患ごとの割合はほぼ例年通りでした。

図2 初診時診断 2187例
初診時診断

入院診療

入院手術症例(図3)

本年度の入院症例は214例、228例であり、前年度より7例減少しました。
抜歯に関連する入院症例がもっとも多く135例(59.2%)(重複あり)でした。これには埋伏智歯などの侵襲度の比較的高い抜歯を全身麻酔で行う症例や、術後の止血困難が予想される抗血栓療法中の患者の局所麻酔下での抜歯などが含まれます。抗血栓療法中の患者の抜歯に際しては、可能な限り抗血栓療法薬を継続しながら抜歯を行うことがガイドラインにて推奨されており、当科では抜歯後の止血について安全に管理するため入院管理下で行うことが多いです。

顎変形症の症例が32例(14.0%)(重複あり)と2番目に多く、次いで、良性腫瘍・嚢胞手術が27例(11.8%)顎顔面外傷手術/異物除去手術が14例(6.1%)でした。

図3 入院手術症例 228例(重複あり)

入院手術症例.jpg


委員会活動等

  1. 合同でのカンファレンス
    NSTラウンド        毎週月、火、木曜日
    RSTラウンド        毎週木曜日
    緩和ケアカンファレンス   毎週火曜日
    ICTカンファレンス      毎週火曜日
  2. 抄読会・勉強会
    外来新患カンファレンス   毎日
    手術術後検討カンファレンス 毎週火、木曜日
    手術術前カンファレンス   毎週火曜日
    医局抄読会         毎週火、木曜日
    医局勉強会         毎週火、木曜日
  3. 他施設との連絡会
    新宿区歯科医療ネットワーク連絡会 年2回

国際医療協力

『ベトナムチョウライ病院ICU看護師の口腔ケア教育に関する介入研究』 本研究は、ベトナムチョウライ病院ICUの看護師に対して口腔ケアに関する指導を行い、口腔衛生に対する意識向上および口腔ケア技術の向上を目的とする当院感染症内科との共同事業です。医学的根拠に基づいた口腔ケアプロトコールを確立し、高水準な口腔ケアの提供により、ベトナムの健康水準の向上に貢献することが期待できます。

研究

  • 『進行性下顎頭吸収・骨代謝連関におけるCCL5の病態および臨床医学的意義の解明』
     本研究では、臨床研究と病態モデル動物実験を統合して、進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption:PCR)患者における血中CCL5レベルの診断あるいは病態把握マーカーとしての有効性や薬剤治療標的分子としての可能性を探索する。血中CCL5をはじめとするケモカインマーカーや骨代謝マーカー、そして炎症マーカーなどを測定し、健常者との比較検討も行う。
  • 『エアータービンハンドピース内部の汚染状態の評価と院内感染対策の検討』
    歯科用切削器具の汚染状態を調査している。歯科用切削器具であるタービンは、回転停止時に陰圧が生じ口腔内の唾液や血液、切削片などの汚染物質を吸い込むサックバック現象を生じることが知られている。サックバック現象によって患者への暴露や歯科治療ユニットの管路まで汚染される可能性があるため、現在調査、評価を段階的に行っている。
  • 『造血幹細胞移植患者の口腔関連有害事象に関する後方視的観察研究』
    本研究は、口腔内感染巣の評価を目的に当科を受診した造血器腫瘍患者[多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群]を対象とし、造血幹細胞移植後の口腔関連有害事象を後ろ向きに検討する観察研究である。また、移植の種類、性別、年齢、歯科口腔外科治療の内容、移植時の口腔衛生状態等と有害事象との関連性を分析する。
  • 『多発性骨髄腫患者の下顎骨に認めた骨透亮像に関する後方視的観察研究』
    本研究は、当科を受診した多発性骨髄腫患者を対象として顎骨の放射線診断学的特徴について後ろ向きに検討する観察研究である。パノラマX線写真およびCTにおける頭頂骨および下顎骨の骨透亮像の有無を調査するとともに、性別、患者年齢層、多発性骨髄腫の病期等との関連性を分析する。
  • 『HIV感染症患者の口腔内有害事象に関する症例対照研究』
    本研究は、当科を受診したHIV感染症患者を対象として診療録からデータを抽出する症例対照研究として行う。厚生労働省から示されているAIDSの指標疾患である23項目の併存症や有害事象を調査するとともに、血液検査値(ウイルス量、CD4値)、性別、患者年齢層等との関連性を分析する。
  • 『抗血栓療法患者における抜歯後出血に関する後方視的観察研究』
     本研究は、当科で抜歯を行った抗血栓療法中の患者を対象として抜歯後出血の有無を後ろ向きに調査し、内服中の抗血栓療法薬の種類、抜歯数、抜歯部位、止血剤や止血シーネ使用の有無、性別、年齢等との関連性を分析する。
  • 『術野のマーキングを行うための人体に安全な材料を用いた医療機器認証マーカーの開発』
     本研究は発がん性が指摘されているゲンチアナバイオレット(クリスタルバイオレット等様々な名称あり)の代替インクを医療機器として開発するものである。様々な候補の中からインクとしての安全性、安定性、吸着性、細線筆記性、マーカーとしての精度、強度、把持性、安全性などについての検討を行い、知財の確保、認証機関への申請などの手続きを行い、上市を目指す。
  • 『歯科治療におけるエアロゾル発生機序の解明とその飛散防止器具の開発』
    歯科治療におけるエアロゾル発生機序の解明し、その飛散防止器具を開発することを目標とする。まずモデル実験を行い、歯科治療を模した実験系でのエアロゾル飛散の状況を調査する。並行して、飛散防止のための機器を考案し、それらの開発と性能評価を行う。協力可能な製販企業を選定し、上市を目指す。
  • 『口腔顎顔面領域における血管腫(血管奇形)に関する観察研究』
    本研究は、当科を受診し、血管腫(血管奇形)と診断された患者を対象とし、所見、およびその後の検査やNd:YAGレーザーによる治療効果などその経過について検討し、エビデンスのある治療として確立できることを目的とする。