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診療実績
診療科紹介
当科は、周産期部門、婦人科腫瘍部門、生殖内分泌部門に分かれて診療を行っています。
周産期部門では新生児科と連携し、在胎週数の未熟な(24週以降)妊産婦の母体搬送受け入れを積極的に行いました。全国的な分娩件数の減少に伴い、2018年まで増加していた分娩件数が昨年より大きく減少に転じ300件台に減少しました。当科では、出生前診断として臨床ゲノム科と共にNIPTを導入し、通常診療の一環として運用しています。
婦人科腫瘍部門では、集学的な治療を積極的に導入しています。本年度はロボット支援下子宮全摘出術(良性腫瘍に限る)の件数が大幅に増加し、1日2件の実施も可能となりました。より効率的なロボットシステムの運用が求められています。今後は、低侵襲化がさらに推進されるものと思われます。
生殖内分泌部門では、高度生殖医療センター設立から7年が経過し、生殖補助医療(体外受精)と婦人科手術を組み合わせたハイブリッド不妊治療を積極的に行っています。採卵件数および胚移植件数は100件を下回っていますが、総合病院でなければ扱いにくい高合併症を持つ不妊症患者を主に対象としています。妊娠率は胚移植あたりで40%前後と全国平均よりほぼ同等かやや良い成績です。
診療実績概要(2020年度度)
NCGMセンター病院産婦人科は、産婦人科医療の3本柱である産科(周産期部門)、婦人科腫瘍、生殖内分泌の3つの領域全てをカバーしており、それぞれの分野を有機的に結びつけながら診療を行っています。他科疾患の合併症例も多く、救急搬送で受け入れるハイリスク症例の割合も高くなっています。ロボット支援下手術は、2018年に導入し、着々と症例数を増加させており、良性だけでなく悪性子宮腫瘍手術(子宮内膜がん)に対してのロボット手術の導入を準備します。
産科(周産期)統計(2020年度)
1. 母体の統計 分娩母体数 358
母体年齢 | 10歳代:0 | 20歳代:65 | 30歳代: 256 | 40歳代:37 |
経産回数 | 初産:178 | 1回経産:145 | 2回経産:30 | 3回経産以上:5 |
早産:47 (妊娠28週未満 8例) |
死産:0 | 多胎妊娠 双胎:8 |
品胎以上:0 | |
分娩様式 | 単胎経腟分娩:217 | 双胎経腟分娩:0 | 骨盤位経腟分娩:0 | VBAC:0 |
吸引分娩:19 | 鉗子分娩:14 | 帝王切開:119 | ||
主な産科異常 | 妊娠高血圧症候群:41 | 常位胎盤早期剥離:3 | 前置胎盤:3 | |
主な合併症 | 心疾患:0 | 糖尿病:4 | GDM: 21 | 甲状腺疾患:26 |
膠原病:4 | 呼吸器疾患:14 | 血液疾患:0 | 腎疾患:0 | |
精神疾患:13 |
2. 新生児の統計 新生児数:366
低出生体重児数:62 | 1000g未満:3 | 1000~1499g:10 | 1500~2499g:49 | 早期新生児死亡:1 |
3. 出産数: 358
4. 母体搬送受入数:83
5. 母体偶発合併症数:196
6. 産科合併症数:278
7. 胎児異常数:25
8. 極低出生胎児:13
婦人科(手術)統計
1. 婦人科手術統計
2019年度 件数 | 2020年度 件数 | |
---|---|---|
子宮筋腫、子宮腺筋症 | ||
腹式単純子宮全摘出術 (TAH) | 18 | 13 |
子宮筋腫核出術 | 6 | 2 |
腹腔鏡補助下子宮筋腫核出 (LAM) | 10 | 1 |
腹腔鏡補助下子宮筋腫核出 (LAM) +腹腔鏡下卵巣嚢胞摘出術 (LC) | 1 | 2 |
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 (LM) | 14 | 11 |
LM + 腹腔鏡下卵巣嚢胞摘出術 (LC) | 8 | 2 |
LM + LC+ TCRm/p | 2 | |
LM + TCRm/p | 2 | |
腹腔鏡下子宮全摘出術 (LH) | 28 | 22 |
LH + 腹腔鏡下卵巣嚢胞摘出術/付属器摘出術 (LC/L-SO) | 10 | 6 |
ロボット支援下子宮全摘出術 | 26 | 46 |
TCR-m | 9 | 11 |
筋腫分娩切除・捻除術+TCR-m | 1 | 2 |
マイクロ波子宮内膜焼灼術 (MEA) | 1 | 1 |
TCRm + MEA | 1 | 2 |
付属器腫瘤(良性) | ||
開腹によるもの (TAHおよび筋腫核出含む) | 10 | 10 |
腹腔鏡によるもの | 92 | 64 |
卵巣捻転 | ||
卵巣捻転解除術(開腹) | 1 | |
卵巣癌および腹膜癌 | ||
TAH+付属器摘出術 (BSO)+骨盤リンパ節廓清術 (PLA)+ 傍大動脈リンパ節廓清術 (PALA)+大網切除術 |
4 | 2 |
TAH+BSO+大網切除術 | 1 | 5 |
BSO+PLA+PALA+大網切除術 | 1 | |
USO+大網切除術 | 1 | |
後腹膜リンパ節郭清術(PLA+PALA) | 1 | |
再発腫瘍摘出術 | 1 | 1 |
転移性卵巣腫瘍 | ||
BSO+大網切除 | 1 | |
付属器腫瘍(境界悪性) | ||
TAH+BSO+大網切除術 | 4 | 3 |
BSO+大網切除術 | 2 | 3 |
腹腔鏡下手術(腫瘍摘出 or 付属器摘出) | 3 | |
子宮頸部異形成、上皮内癌, LEGH | ||
円錐切除術 | 32 | 33 |
円錐切除+TCRp | 1 | |
TAH | 1 | |
LH | 1 | 1 |
子宮頸癌 | ||
広汎子宮全摘出術 (ARH)+PLA | 5 | 5 |
準広汎子宮全摘出術 (AEH) +PLA | 2 | |
TAH+PLA | 2 | 1 |
TAH | 1 | 1 |
子宮体癌/子宮肉腫 | ||
準広汎子宮全摘出術+BSO+PLA/PALA | 3 | |
拡大単純子宮全摘出術+BSO+ PLA/PALA | 3 | |
拡大子宮全摘出術+BSO+PLA/PALA | 8 | |
拡大子宮全摘出術+BSO | 2 | |
LH+L-BSO+L-PLA | 7 | 4 |
LH+BSO | 2 | |
再発腫瘍摘出 | 1 | |
外陰癌 | ||
再発腫瘍摘出術 | 1 | |
外陰部分切除術+鼠径リンパ節郭清 | 2 | |
広汎外陰切除術+鼠径リンパ節郭清 | 1 | |
外陰腫瘍 | ||
外陰腫瘍摘出術 | 2 | |
腟腫瘍 | ||
腟壁腫瘍摘出術 | 1 | |
不妊症 | ||
腹腔鏡検査 | 3 | |
腹腔鏡検査+TCRp | 1 | |
腹腔鏡下卵巣多孔術 (LOD) | 1 | |
腹腔鏡下卵管采形成術 | 1 | |
子宮内膜ポリープ | ||
子宮鏡下内膜ポリープ切除術 (TCR-p) | 23 | 12 |
TCRp+MEA | 1 | 5 |
子宮頸管ポリープ | ||
子宮頸管ポリープ摘出術 | 2 | |
子宮鏡下頸管止血術 | 1 | |
中隔子宮 | ||
子宮鏡下中隔切除術 | 1 | |
骨盤臓器脱 | ||
腟式子宮全摘出術(VTH)+前後腟壁形成術 (Halban術式) | 3 | |
腟式子宮全摘出術+前後腟壁形成術 (Halban術式) | 7 | |
前後腟壁形成術 | 1 | |
TLH+HAlban+断端吊り上げ術(Shull法) | 3 | |
中央腟閉鎖(Le Fort) | 1 | 2 |
異所性妊娠 | ||
腹腔鏡によるもの | 12 | 13 |
流産手術 | ||
自然流産 (MVA) | 50 | 24 |
人工中絶 (MVA) | 2 | 0 |
胎盤遺残・RPOC | ||
D&C (MVA) | 2 | 1 |
子宮鏡下胎盤ポリープ摘出術 | 1 | |
バルトリン腺嚢胞 | ||
造袋術 | 1 | |
尖圭コンジローマ | ||
焼灼・切除術 | 6 | 1 |
子宮体癌の疑い | ||
診断的子宮内膜掻爬術 | 17 | 9 |
TCRp+ 内膜掻爬 | 1 | |
子宮頸管無力症 | ||
シロッカー手術 | 6 | 6 |
胞状奇胎 | ||
D&C | 2 | 2 |
外陰血腫 | ||
血腫除去・縫合止血 | 2 | 1 |
腹腔内出血 | ||
腹腔鏡下止血術 | 2 | |
術後創部膿瘍 | ||
開腹デブリドマン | 1 | |
術後膿瘍 | ||
開腹デブリドマン | 2 | |
子宮内異物 | ||
IUD抜去 | 2 | 2 |
子宮頸管癒着 | ||
子宮頸管癒着剥離術 | 1 | |
帝王切開瘢痕部症候群 | ||
腹腔鏡下切除術 | 1 | |
IVHポート挿入 | 8 | |
子宮穿孔 | ||
腹腔鏡検査+修復 | 1 | |
※症例の重複なし 総計 | 465 | 374 |
2019年度 件数 | 2020年度 件数 | |
---|---|---|
腹腔鏡手術 | 191 | 142 |
子宮鏡手術 | 38 | 35 |
ロボット支援下手術 | 26 | 46 |
2. 生殖統計
2019年度 件数 | 2020年度 件数 | |
---|---|---|
採卵 | 72 | 87 |
体外受精 | 32 | 29 |
顕微授精 | 40 | 58 |
2019年度 件数 | 2020年度 件数 | |
---|---|---|
胚移植件数 | 88 | 95 |
新鮮胚移植 | 5 | 0 |
凍結融解胚移植 | 83 | 95 |
臨床妊娠例数 | 37 | 42 |
生産数 | 25 | 29 |
委員会活動
- 産婦人科内カンファレンス
月~金:8:30~8:45 (朝礼、夜間勤務報告)
月:15~17時(病棟症例検討会、総回診)
木:15~17時(術前症例検討会、抄読会) - 他科との合同カンファレンス
小児科との合同カンファレンス:毎週火曜日8:00~
放射線診断科との合同カンファレンス:2, 4, 6, 8, 10, 12月の第1水曜17:00~
病理科との合同カンファレンス:第2水曜日16:00~
国際母子カンファレンス:3, 6, 9, 12月の第2水曜日18:00~20:00
AYA支援チームミーティング:毎月第4木曜日 17:00~
研究
研究活動
- 厚労省科研費エイズ対策研究事業
定月、中西は、平成29年度厚生労働省科学研究費補助金エイズ対策研究事業「HIV感染妊娠に関する全国疫学調査と診療ガイドラインの策定ならびに診療体制の確立」(研究代表者 喜多恒和)の研究協力者として、「HIV感染妊娠に関する臨床情報の集積と解析」についての研究を行い、我が国のHIV母子感染の現状を調査を継続しました。 - 国際医療研究開発費
矢野、大石、定月、山澤、高本は、29指-2011「NCGM統合データ・プラットフォームの構築による、プレシジョン・メディシン実用化に関する研究」(主任研究者:加藤規弘)の分担研究者、研究協力者として、「がんのプレシジョン・メディシン実用化における婦人科がんの試行的研究」を行っており、急速に進む婦人科腫瘍領域でのゲノム診療の幕開けにむけて準備を進めているます。