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第4回 国際保健医療協力研修 参加報告
第4回 国際保健医療協力研修 参加報告
国立国際医療研究センター(NCGM)国際医療協力は、開発途上国における保健医療の向上を理念に1986年に設立され、日本が世界に誇る存在としてその地位が確立されております。国際保健医療協力研修は、国際保健医療協力の専門家による実践的な内容を含む講義を通じて、国際保健医療協力の基礎知識を習得するとともに、海外でのフィールド実習を通して実践力を養うことにより、国際保健医療協力にかかわる人材を養成することを目的とした研修です。多岐にわたる国際保健医療協力活動に参画する人材に要求される能力とは、いったい何でしょうか。それは、保健医療分野の専門性や、プロジェクト遂行に必須なリーダーシップ、マネジメント力、コミュニケーション力など、要求される水準は計り知れません。自らが経験した東日本大震災では、日本が世界各国、地域から多大な支援をいただく中、何もできない自分に苛立ちを抱きつつ、一社会人として医療人として、社会に貢献していきたい一心で、今回の研修を受講することとなりました。
研修プログラムには、大きく分けてコア研修とベトナムでのフィールド研修に分けられていました。コア研修とは、国際医療協力に必要な専門知識取得で、いわば実践における研修の事前準備でありました。病院内における放射線分野で職務に遂行している中で、専門分野とは大きく懸け離れた概要であり、研修初日は戸惑いも感じていましたが、国際保健医療協力の専門家の先生方によるご配慮によって、戸惑いもいつの間にかなくなりました。国際保健医療分野の世界に没頭していた時間は、従来までの視点から広い視点に切り替えて物事を捉える力を養え、大変有意義な時を過ごすことができたと自負しております。本研修で、私自身が強く関心を抱いた事は、以下2点です。プライマリヘルスケアPrimary Health Care(以下PHC)と、Project Cycle Management (以下PCM)です。PHCとは、科学的根拠に基づいた社会的に受け入れられる方法によって、地域全ての人が実践可能な事であり、自立・自決の精神で参加することによって、その地域および国で開発の、それぞれの段階に応じ提示できる技術に基づくケアのことです。つまり、技術があっても、途上国には途上国の人々や環境が受け入れることができ、維持管理できるに適した技術を導入すべきということです。自身が当たり前のようにいる今の環境に当てはめるとどうでしょうか。病院という組織の中の放射線部門という一つの枠の中で、何ができるのでしょうか。何をすべきなのか。海外研修から帰ってきて初めに感じた事でした。PCMとは、現状における問題を特定し、問題の原因を分析し、解決策を探りその実行計画をプロジェクトとして形成していくことです。プロジェクト計画初日、ベトナムでのホアビン省総合病院において、現地の方々と議論した結果、意見の不一致により、プロジェクトが順調に進みませんでした。ホテルに戻ってから、チームメンバーと共に解決策を何度も議論し、翌日に期待と不安を旨にホアビン省総合病院へ向かった経験は、自身の糧となりました。
今回の研修は、本来ならば開発途上国へ支援を旨に飛び立ったはずが、自らが学んで帰ってくる研修となり、いろいろと議論はありましたが、この経験は今の職務に大きく反映できるものとなっています。化学的思考に基づく専門性を駆使して、如何に価値の創出につなげていくかについて 様々な角度から学んでいくこができる本研修は、今の診療放射線技師には必要不可欠なことであると考えます。放射線部門での取り組みから大きく視点を変え、海外のフィールドに立ち、研修を通じて広い視野とチームワーク形成の充実、実践を遂行させるためのプロジェクトを達成する事の意義を捉えることが経験できました。
現地の方々との問題解決に向かっての議論、食事を交えたコミュニケーションの充実、そして、日本とベトナムの双方の情勢から見えてきたものを、海外でのフィールドの舞台でプレゼンテーションとして発表するなど、日常生活で出来ない事が、この研修では出来ます。本研修が今後も充実して、沢山の診療放射線技師が参加していくことを望んでいます。
画像情報管理主任
持木