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2023年 医療技術等国際展開推進事業(カンボジア王国診療放射線技師の技術向上)

事業概要

 カンボジア王国における診療放射線技師の技術向上を主題とし、マンモグラフィとCTの技術支援を首都であるプノンペンに所在する国立母子保健センター(NMCHC〈National Maternal and Child Health Center〉)にて行いました。
 NMCHCは、日本による無償資金協力のもと妊産婦・乳幼児の死亡率低下のために設立され2022年度までは母子のみの診療を行っていました。しかし、現在では一般診療へ診療範囲を拡大し、それとともに対象検査の拡大と質の向上が求められるようになったことから今回の渡航が決定しました。

研修日程

・現地渡航
第一回 2023年10月30日~11月2日(藤井、宇留野)
第二回 2024年2月5日~2月8日(相澤、藤井)

内容

・第一回渡航
 「マンモグラフィ撮影に必要な知識と技術の向上」および「今後導入予定である造影CTを行うために現地技師の基礎知識と理論、撮影技術の習得」を目的として渡航しました。また、「2月に開催するセミナーの詳細調整」を行いました。マンモグラフィ撮影の技術支援として撮影に必要な知識と技術向上のためスライドを用いた講義と実習を行いました。日本では女性技師が撮影を担当することがほとんどですが、カンボジア王国では男性技師が撮影することも少なくありません。そこで、乳房ファントム(ベスト型)を着用してもらい実際の撮影と同様にポジショニングの練習を行いました。NMCHCではマンモグラフィのポジショニング練習を行う機会が少ないと伺っていたためとても有用であったと感じました。次にCT撮影技術支援として、「日常点検」「造影撮影技術」「造影理論」「副作用対応」「小児撮影」の5項目に関する講義と実習を行いました。なかでも、「日常点検」に関しては毎日継続して行うことが大切であるため、少しでも簡便になおかつ的確に行えるようプロトコル作成とチェックシートの作成を現地の技師とディスカッションしながら行いました。

 今回の渡航に対する私の所感として、いずれの講義・実習において現地の技師による多くの質問や相談がありました。撮影技術や知識を向上させることは自身のためだけでなく患者様により良い医療を提供するために不可欠であるため、今後のカンボジア王国における診療放射線技師の技術向上の実現を心待ちにしております。

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・第二回渡航 
 2月にはNMCHCでプノンペン市内診療放射線技師に対する技術・知識向上を目的としたセミナーを開催しました。セミナーではNMCHC所属の診療放射線技師1名に1講義を担当してもらい、他施設の診療放射線技師との知識共有を深めていただきました。日本からは要望があった内容(日常点検、造影撮影技術・造影理論・副作用対応、小児撮影等)に関する講義を行い 22名に修了証を授与しました。参加者の中には診療放射線技師学校の講師もいたため、今後のカンボジア王国での診療放射線技師育成の一助となることが期待されます。造影剤副作用や救急対応に対する意識が高く、医療安全に対する関心の高さが伺えました。今後は検査環境整備(医薬品・医療機器)と他施設との検査の質における均てん化と標準化がステップと理解しており、多くの患者に安定した医療画像提供できるよう期待したいと思います。

 本事業参加にあたり、機会を与えていただきました放射線診療部門スタッフの皆様および国際医療協力局スタッフの皆様に深く感謝申し上げます。

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