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ライフスタイル

適度な運動、バランスのよい食生活、飲酒の制限、体重管理は乳がんの予後を改善することがわかっています。

こちらのサイトもぜひご覧ください。
患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版 療養上の諸問題について
https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g8/

また、乳がんの予後だけでなく、心疾患などの命に関わる晩期合併症のリスクを下げるためにも、今一度ご自身のライフスタイルを見直してみましょう。

喫煙

喫煙は、がんだけでなく心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、肺気腫など、さまざまな病気の発症と関連しており、生活の質を下げるだけでなく、死亡リスクを高めると報告されています。

食事

卵巣機能が低下すると、動脈硬化、脂質異常症や骨粗鬆症のリスクが高まります(早発閉経の項もご参照ください)。また、ホルモン療法薬の副作用で脂質異常症をきたすこともあります。がんの再発を防ぐために特定の食べ物を避けたり、過剰にとったりすることは勧められません。食事の内容を見直し、バランスのとれた食生活を目指しましょう。どのような食事が好ましいかわからないときには、栄養相談を活用してみましょう。

1. 脂質異常症予防のための食事
脂質異常症は動脈硬化性疾患のリスクとなります。

  • 過剰なコレステロールの摂取を控える

    コレステロールの摂取量がからだに及ぼす影響は人によって異なりますが、食品から摂るコレステロール量は1日200mg以下を目標にすると、動脈硬化性疾患の発症を予防できる可能性があると言われています。コレステロールは卵や内臓類(レバーなど)に多く含まれています。

    *コレステロール含有量の例
     親子丼:1食380mg、レバニラ炒め:1食150mg、ショートケーキ:1切れ90mg
  • 脂質の摂取について
    一言に「脂肪」といっても、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸などさまざまな種類があります。不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあり、オリーブオイルに多く含まれています。飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やす働きがあり、脂肪分の多いお肉や乳製品に含まれています。トランス脂肪酸は、他の脂肪酸と比べてHDL(善玉)コレステロールを低下させ、心筋梗塞のリスクを高めると言われています。目には見えにくいですが、カレーのルーやお菓子やパンにも含まれています。マーガリンやショートニングはトランス脂肪酸を含んでおり、過剰な摂取は動脈硬化を促進します。また、魚油は中性脂肪を低下させます。
  • 食物繊維を摂る/糖質を摂りすぎない

2. 骨量減少・骨粗鬆症を予防するための食事
骨の健康のためには、カルシウムを摂取するだけではなく、カルシウムの吸収をよくするビタミンDや、カルシウムの骨への取り込みを助けるビタミンKの摂取も大切です。

  • 骨の健康のためにおすすめの食品例
     牛乳・乳製品・小魚・緑黄色野菜・大豆・大豆製品(カルシウム)
     魚類・きのこ類(ビタミンD)
     納豆・緑黄色野菜(ビタミンK)

カルシウムのサプリメントに関しては、1回500mg以上を摂取すると心血管障害(心筋梗塞など)のリスクが高まるという報告もありますので、摂取する場合は注意が必要です。

運動

乳がんと診断された後、週に1時間程度のウォーキングに相当する運動を継続した方は、しなかった方と比べて再発リスクも死亡リスクも低かったという報告があります。また、適度な運動は乳がん診断後の心理面・社会面においても、よいということが明らかになっています。
骨密度の観点からも、運動は有効であるといわれています。特に下肢の運動や、いろいろな動きを組み合わせた複合的な運動は、骨密度を上げるという報告もあります。太極拳のような有酸素運動も骨密度維持に有効であり、お勧めです。
運動を行うことは乳がんだけでなく、動脈硬化性疾患などあらゆる原因の死亡リスクを下げるともいわれています。

  • 1日みっちり運動してもよいですが、1日30分のウォーキングを週5日程度続けて行うことも効果的です。
  • 念入りにお掃除をするなど、家事をこなすことも自然と有酸素運動になります。

体重管理

適正な体重を維持することは、乳がんだけでなくあらゆる動脈硬化性疾患による死亡リスクを下げることがわかっています。
今日をきっかけに運動や食事療法など、ライフスタイルを見直してみましょう。目安を設定して取り組むとよいかもしれません。

参考資料:American cancer society>Risk, Prevention, Screening>Eat Healthy and Get Active HP
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版
動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版