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大型血管炎(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)のFDG-PET/CT検査

2018年4月から大型血管炎(高安動脈炎と巨細胞性動脈炎)にFDG-PET/CTの保険適用が拡大され、「大型血管炎と診断された患者さんで、病変の局在または活動性の診断(可視化)を目的」とする場合にFDG-PET/CT検査を実施することができます。

高安動脈炎、巨細胞性動脈炎とFDG-PET/CT検査

高安動脈炎は、大動脈が侵される疾患で、病変の部位により、腎血管性高血圧、冠状動脈炎症(狭心症又は心筋梗塞の一因)、大動脈弁閉鎖不全症(心不全の一因)等をきたすことがあります。巨細胞性動脈炎の症状は病変の分布により多様ですが、頭痛、視力障害、失明、咀嚼時の痛み等をきたすことがあります。

高安動脈炎の診断は、臨床症状と血液検査(炎症マーカー)と画像診断によって行われます。画像検査では、血管造影検査、CT検査、MRI検査、頚動脈エコー検査などが利用され、血管の形態学的な評価を行います。FDG-PET/CT検査では、FDGが炎症部位に集まるという性質を利用し、炎症が生じている部位を一回の検査で全身にわたって診断することが可能であり(感度は90%以上といわれています)、またFDGの集まり方によって炎症の程度も推定することができます。大型血管炎におけるFDG-PET/CT検査の有用性は「血管炎症候群の診療ガイドライン」等でも示されています。

以下は、高安動脈炎、側頭動脈炎と診断された方のPET/CT画像になります。

  • 図1

    図1

  • 図2

(図1)では鎖骨下動脈(青)大動脈~腸骨動脈、大腿動脈(赤)、左腎動脈(黄色)の血管壁にFDG集積が認められ、FDG-PET/CT検査によって高安動脈炎の炎症部位が特定できました。頭部の画像では側頭動脈に沿ってFDG集積があり(白)、側頭動脈炎に合致する画像所見です。 

FDG-PET/CT検査の方法

大型血管炎に対するFDG-PET/CT検査は、前処置、FDGを投与してから撮影開始までの時間、検査費用など通常のPET/CT検査と同じです(当科HP「PET/CTとは」の「FDG-PET検査はこうして行われる」 [リンク])。血管炎は全身に広がる疾患のため、撮像の範囲を広げることや部分的な撮影を追加することがあり、その場合は通常のPET/CT検査よりも撮影時間が10分ほど延長することがあります。また、すでにステロイドなどの治療薬を利用されている場合は、FDGの集積が抑制され病変が描出できない可能性がありますので必ず主治医とご相談ください。

検査をご希望される場合は主治医にご相談ください。主治医の先生には必要に応じて当科HPの「医療関係者向けのご案内」をご案内ください。