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脊柱変形・側弯症・後弯症

目次

  1. 思春期特発性側弯症(AIS)
  2. 成人以降の側弯症、後側弯症

1.思春期特発性側弯症(AIS)

  • 特別な原因がなく(=特発性)背骨が曲がってしまう疾患で、小学校高学年から中学生の検診で見つかることが多い。
  • 女児に多く、遺伝・栄養・運動などとの関連が報告されていますが、原因はまだ解明されていません。
  • 成長に伴って悪化し、通常は身長がとまると側弯の進行も落ち着きます。
  • 成長が止まった段階で40~50度程度まで側弯が進んでいると、その後もゆっくり進行するため、これを予防するのが治療です。

治療

特発性側弯症に対して現在効果が明らかなものは、装具治療と手術治療です。

  • 身長がとまるまでに側弯が40~50度にならないようにする→装具
  • 40~50度になったものは手術治療を検討する

大まかな治療方針としては、

  • ~20度:そのままでも進まないことも多く、年数回の外来で経過をみます
  • ~40度:進行が予想される方には装具をお勧めします
  • 40(50)度~:年齢、部位、部活や学業に応じて手術について相談

となることが多いですが、手術がお勧めとなった場合でも、中学生で手術をする、受験があるから終わってから、部活があるから大学生までやらないなど、基本的にはご本人のライフスタイルに合わせて時期を検討し、急いで行うことはありません。

装具治療について

  • 装具治療は硬い装具を年単位で装着する、長期の努力が必要な治療です。
  • きちんと装着できると高い治療効果があります。
  • 側弯を元に戻すことはできず、悪化させない目標で行います。

できる限り装着感を改善することと治療効果を高めるために、カメラを使って体型を計測し、コンピューター上でご本人のレントゲンと重ねて装具の形を作成しています。従来の手作業のものに比べて精度が高いため装着感が良く、より確実な矯正も期待できるという報告があります(Karavidas, 2019)。

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装具治療では装具の装着時間が最も大切なため、より快適に治療が続けられるようにできるだけサポートしたいと思います。

手術治療について

  • 手術は背中を縦に切って曲がっている部分の背骨にネジを入れ、まっすぐの棒でつなぐことで側弯を矯正します。
  • 範囲によって2-6時間程度の手術です。
  • 本人の痛みに応じて手術翌日から3日目頃に歩き始めます。
  • 10日目頃で創部が綺麗になったら退院可能です。
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退院後から通学などの日常生活は可能ですが、手術後半年から1年程度は運動を制限していただきます。

2.成人以降の側弯症、後側弯症

原因と症状

  • 前述の思春期特発性側弯症が成人後に進行したものや、加齢性変化に伴って椎間板が変性して体が前に倒れてくることで強い腰痛が出現します。肋骨が骨盤の骨にぶつかって痛いということもあります。横曲がりが派手に見えますが、前に倒れてしまうことが大きな問題になることが多いです。パーキンソン病で合併することもあります。

治療

  • 軽度から中等度であれば鎮痛薬やノルディックウオークなどの補助具での対応で生活が改善することがあります。

  • 重度となると、疼痛やバランスの問題で立っているのが難しくなり、歩行にはシルバーカーを使う必要がでます。

  • 日常生活への支障が高度となった場合は、体の傾きを治す手術が適応となります。長期で見るととても満足度の高い手術になりますが、脊椎手術の中でも大きなものですので、メリット・デメリットをよくご理解していただいた上で実施しています。

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