腰椎の疾患

目次

1. 腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症
2. 腰椎椎間板ヘルニア
3. 腰椎圧迫骨折
4. 軟骨無形成症

1.腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症

原因

• 腰椎の椎間板や靭帯、骨が加齢性変化をおこして下肢の神経を圧迫することが原因です。

症状

• 代表的なものは歩行時に増悪する殿部から下肢の痛みです。基本的には座ったり寝ている時に痛みは軽減しますが、神経の障害が強い場合は安静時にもしびれ症状が残ります。症状が強くなると、足の力が入りにくくなったり、排尿が難しくなることもあります。

治療

• 症状やご希望に応じて内服、神経ブロック、手術が選択肢となります。手術は、2cm程度の小さい傷から内視鏡を使って神経の通り道を広げる低侵襲なもので対応できることが多いですが、病態によって4cm程度の切開を行うものや金属を使った固定術が必要となることがあります。

2.腰椎椎間板ヘルニア

原因

• 腰の骨(椎体)の間でクッションの役割をしている椎間板の線維が破れて中の組織(髄核)が外に漏れ出し、腰の神経を刺激します。

症状

• 刺激される神経に応じた部位に痛みが出現します。下肢の外側や後ろ側が多いですが、前側や内側に出ることもあります。腰部脊柱管狭窄症と同様の症状ですが、急な発症で前屈みが苦手なことが多いのが特徴です。

治療

• 腰部脊柱管狭窄症と同様で、内服、ブロック、手術となりますが、椎間板ヘルニアは3ヶ月程度の経過で症状が改善することが多いため、その間の疼痛を抑えることがまずは目標となります。生活への影響が強い場合や、仕事など社会的な事情がある場合は早期の手術を検討します。

3.腰椎圧迫骨折

原因

• 加齢などによる骨密度の低下(骨粗鬆症)に伴って背骨の強度が落ち、しりもちやものを持ち上げるなどの軽微な力で背骨が骨折します。

症状

• 初期は起き上がりや寝返りなど動いた時の背部痛や腰痛が目立ちます。1ヶ月程度で日常生活に支障がない程度まで回復することが多いですが、骨の癒合が悪く(偽関節)疼痛が継続することがあります。また、骨折に伴って神経が刺激されて、下肢痛や肋間神経痛(脇腹や鼠径部の痛み)、筋力低下が出現することもあります。

治療

• 疼痛の程度に応じてまずはコルセットや鎮痛薬で生活を維持します。痛みで生活がままならない状態が2週程度継続している場合や、1-2ヶ月以上経っても骨の癒合が悪い場合は、椎体形成といって骨をセメントで補強する手術を行うこともあります。
• 骨密度が低い場合が多く、骨粗鬆症に対しては内服や注射による長期的な治療を検討します。神経痛が強い場合や、下肢の麻痺が見られる場合は、骨を削ったり金属で固定することもあります。

4.軟骨無形成症

• 四肢短縮型の低身長となることが多い疾患ですが、脊柱管の大きさも小さいことが多く、脊柱管狭窄症となりやすいです。症状は加齢に伴う脊柱管狭窄症と同様ですが20代など若年から発症すること、頚椎・胸椎も狭いことが多く背骨全体の評価が必要なことなどが特徴です。手術の合併症が多いことがわかっており、丁寧な手技が必要です。