資格取得を目指した理由
入職後の1年目、整形外科病棟に配属になりました。手術をして笑顔で帰られる患者さんが多く、やりがいはありました。その一方で、せん妄になる患者さんもいて、多忙な中でそのケアに困難さを感じていました。私だけでなく、看護師の多くも疲弊している様子が伺えました。次に配属された病棟でも同じようなことがあり、患者さん・ご家族・職員のメンタルヘルスが重要と考え、リエゾン精神看護専門看護師に着目しました。
資格取得のための研修・勉強について
専門看護師の資格を取得するためには、大学院に行く必要があります。私は専門学校卒でしたので、放送大学で単位を追加で取って、まず学位授与機構で看護学士を取得しました。その後、各大学の教授とアポイントを取って各大学院の特徴を知り、受験しました。英語の成績が伸びずに1度受験に失敗しましたが、翌年合格しました。大学院の生活は専門家になるための学びをしつつ、実習や修士論文もあって大変ではありましたが非常に勉強になりました。大学院修了後に事例を提出して試験を受け、精神看護専門看護師の資格を取得しました。
現在の仕事内容
現在、リエゾン精神看護専門看護師として、精神科リエゾンチーム、認知症ケアチームに所属して活動しています。医師や看護師からの依頼に対して、多職種で状況のアセスメントを行い、チームとして非薬物療法、薬物療法の両面から提案を行っています。また、倫理的観点から高齢患者さんの意思決定支援や身体抑制の最小化に取り組んでいます。職員のメンタルヘルスとしては「心のケア相談室」があり、職員面談や復職支援を行っています。
看護師としての自身の課題と、どうやってそれを乗り越えていきたいか
各病棟をラウンドをしながら専門家として直接ケアに入ることも多いですが、組織の問題や病棟の問題を分析して、その改善のためにどうすべきかを考える管理的視点も多く求められるようになりました。各職種や立場からそれぞれの意見を吸い上げ、問題を明確化し、対策を実行して評価することが求められます。今後は、解決に向けて新たな視点から対策を生み出す力をつけること、問題解決に向けて対応していく実行力を強化していくことが必要と考えています。そのために当院だけでなく、様々な日本の情勢や各病院の対策などにも着目しています。
看護師としての今後の目標
私は、アメリカで生まれた「マグネットホスピタル」という概念が好きです。マグネットホスピタルとは、患者さんだけでなく「看護師を惹きつけ、高い定着率を維持している魅力的な病院」のことを指します。看護師がすぐに離職せずに長期的に働き続ける職場にするには、単一的な問題でなく、様々な要素が絡み合っており、それらを解決していく必要があります。私は、自律性の高い看護師が多く在籍し、質の高いケアを実行していくことで患者さんやご家族からも評価される病院になっていくと考えます。職員がイキイキとして働ける環境を作れるように引き続き頑張っていきたいと思います。