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呼吸器内視鏡診療(4) 硬性鏡を用いた気道内ステント術

【呼吸器内視鏡診療】

硬性鏡を用いた気道内ステント術

ステント挿入による呼吸困難の解消

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気道ステント留置術、硬性気管支鏡 とは

「苦しくて息をしたいのに、息ができない」という状態が、非常につらいことは、海水浴やプールなどの経験を通して多くの方がご存じのことと思います。鼻や口から肺の中の空気の通り道(気管~気管支)までを「気道」と呼びますが、それをふさぐ障害物があると水におぼれた時のような苦しさを自覚する場合があります。その苦しさを和らげるためや、近いうちに苦しくなる可能性が高い場合、その気道内の障害物を取り除きつつ、再び気道が狭くならないように内貼りとして「ステント」と呼ばれる筒状の医療器具を置く手術を、「気道ステント留置術」と呼びます。

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また、ステントを入れるかに関わらず、気道内の障害物を除去する処置(切ったり焼いたりと様々な方法)など、安全のために硬性気管支鏡という道具を使用します。ステントは、状況や状態により材質など適切なものを選択することになりますが、比較的容易に抜くことが可能な利点を考慮して、シリコン製のステントを使用します。より詳しく知りたいかた、医療従事者のかたは、下記の日本呼吸器内視鏡学会からの指針もご参照ください。

https://www.jsre.org/modules/medical/index.php?content_id=10

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気道ステントの対象になる主な疾患・状態

  • ほかの手段では同様の効果が得られないとき
  • 癌の治療前・治療中に、いまにも閉じてしまいそうな空気の通り道があるとき
    (抗癌剤や放射線治療に先立って処置を行います、治療が奏効し不要になればステントを抜いてしまいます)
  • 癌などで、食道と気管の間などに開いてしまった穴をふさぎたいとき
  • 癌の末期で、空気の通り道に癌があるせいで苦しいとき
  • 良性疾患で、どうしても苦しさを和らげたいとき
    (ただし、基本的には良性疾患は適応外となる場合が多い)

※上記の場合でも、技術的に困難や、行っても有効性が低いなど、手術自体のリスクも考慮して、行わない場合があります。ご相談ください。

ほかの方法

体の外から放射線を照射したり、気管の中からレーザーやプラズマで処理したり、高周波の装置で焼き切ったり、凍らせて削り取ったりと、様々な方法があります。放射線以外の方法については、軟性気管支鏡だけでも可能な処置もありますが、多くの場合、硬性気管支鏡で行ったほうが安全性が高いとされています。

手術の実際

手術といっても比較的規模の小さなものですが、全身麻酔で行う上に感染や出血、窒息などのリスクがあります。ほかの手術や処置と同様ですが、慎重に行っても、一定の割合で死に至るような合併症が避けられないと言われています。まず、手術が本当に必要か、本当に可能かの判断を、丁寧・慎重に行わなくてはなりません。一般的に、手術の前には、CT、心電図、呼吸機能検査、血液検査など様々な検査が必要です。 手術の際には、一週間程度の入院となる場合が一般的です。手術のあとの治療については、ほかの病院からのご紹介であれば基本的にはもとの病院に戻って治療を継続していただくことになりますが、病気や状態によってさまざまです

おわりに

関東圏にはほかにも硬性気管支鏡による気道ステント留置術を行っている施設がありますが、その施設数が少ないのが現状です。適応がありそうな患者様がおられましたら是非ご相談ください。

国立国際医療研究センター 代表 03-3202-7181
呼吸器内科  橋本理生、石田あかね