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喀血(呼吸器インターベンション)外来開設のご案内

この度、国立国際医療研究センター呼吸器内科にて、喀血を始めとする呼吸器症状に対して、カテーテルによる非薬物的加療(呼吸器領域のインターベンション)を行うための体制を確立しました。

以下のような症状をお持ちの方とご相談の機会を設けるべく、専門の喀血外来を毎週月曜日の午後に開設する運びとなりました。詳細についてご報告およびご紹介いたします。

なお、基本的には外来受診の後、精査加療目的に入院を検討させていただきます。

喀血とは

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何らかの原因で、気道(空気の通り道)を栄養する血管の破綻による出血に伴い、咳(せき)とともに血液が吐き出されることを喀血といいます。多くは咳とともに喀血しますが、咳のないこともあります。

色調は新鮮な赤紅色で、ときに泡沫(ほうまつ)状であり、食物の残渣は混じっていません。

睡眠中に喀血が起こると、血液を飲み込んでしまうため嘔吐(おうと)することがあります。この場合、胃液の作用を受けて黒褐色に変色するので、吐血(とけつ=:消化管からの出血)と間違えることがあります。

喀血の量と治療の必要性

  1. 少 量:ティッシュペーパーに付着する程度  ⇨経過観察、外来受診
    • 対応例:外来にて止血剤頓服処方にて対応など
  2. 中等量:コップ1杯程度          ⇨外来受診
    • 対応例:安静、止血剤連日内服にて対応、場合によっては精査加療入院を検討
  3. 大 量:洗面器1杯程度(400~600ml/日)   ⇨救急受診

喀血の原因

喀血の原因疾患としましては、気管支拡張症・非結核性抗酸菌症・肺アスペルギルス症・肺結核後遺症・特発性喀血症・肺癌など様々な病気が原因で起こります。

少量の出血では、抗菌薬投与などの原因疾患の治療に加え、安静臥床、止血剤の投与などを行うことで止血が得られることが多いです。大量喀血の頻度は極めて低くて、全喀血の約1.5%にすぎないと言われておりますが、ときには止血が困難な場合もあり、その際には命にかかわることも多く、専門的治療が必要となります。

表(1) 原因疾患のまとめ
気道出血肺実質血管疾患その他
急性ならびに
慢性気管支炎
肺結核、
非結核性抗酸菌症
肺塞栓症 胸部外傷
気管支拡張症 肺感染性嚢胞 肺高血圧症 肺分画症
肺癌 肺炎、肺化膿症 動静脈奇形 月経関連の出血
気管支腫瘍
(カルチノイド)
アスペルギローマなどの真菌疾患 血管炎症候群 血液疾患による出血
気道異物 二次性肺胞出血(SLE,Good pasture syndrome,特発性間質性肺炎,ANCA関連血管炎,Wegener肉芽腫症など) うっ血性心不全 DIC、肝硬変
  特発性肺ヘモジデローシス、特発性肺胞出血   抗凝固薬
抗血小板薬
コカインなど

※明らかな原因がないのに、咳や痰が2週間以上続いたり、血痰や少量の吐血がみられたら早めに受診して、肺結核などとの鑑別を行う必要があります。

喀血時の検査

胸部レントゲン、喀痰検査は全例に行います。一般血液検査(採血)に加え血液ガス分析、凝固系検査を行い、貧血の程度や酸素化能、凝固異常の有無などを評価します。

加えて造影胸部CTにて病変の部位や原因疾患、異常血管の有無などを評価します。

可能であれば、気管支鏡を行い、出血部位の同定や止血処置を行います。

心不全を疑う時は心電図や心エコーなど心機能検査を、肺塞栓を疑う時は肺血流シンチや肺血管造影を考えます。Goodpasture症候群など特殊な疾患を疑う時は、腎機能検査や血中の自己抗体などを測定します。その他病態に応じて適宜必要な検査を追加していきます。

喀血時の一般的な治療

止血剤投与化に安静にして止血されるのを待ちます。カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物(アドナR)+トラネキサム酸(トランサミンR)の点滴投与と安静などが一般的に行われます。また、原因によって治療法は異なりますが、感染が原因の場合には抗生物質も併用となります。

大量出血の場合、集中治療室またはそれに準じた施設で治療を行うことが望ましいとされております。可能であれば、出血源のサイド(右、左)を同定し、出血を起こしている方を下にした側臥位をとり、健常肺に血液が入り込まないようにします。出血が続く場合、酸素化不良の際は気管内挿管を行い、人工呼吸管理を行うことも考慮します。

止血剤にても出血が止まらない場合は原因となる血管を詰める治療(血流を塞き止めて血が出ないようにする治療)が必要となります。

当院で可能な専門的治療:血管内治療

出血の原因となる血管(気管支動脈−肺動脈瘻)の診断に関しては、以前では入院して血管撮影という侵襲的な検査を行わないとなかなか同定が難しかったのですが、現在は画像の進歩により、造影CTを行うことで3D-CTアンギオグラフィー(図1)を再構成することができ、それにより事前に非侵襲的に喀血の原因血管となる異常血管や治療すべき血管の同定が可能となり、治療を受ける患者様の負担はかなり軽減してされております。

喀血の原因となりうる異常血管に対する血管内治療法は、「超選択的動脈塞栓術」といって、足の付け根の動脈からカテーテルという特殊な細い管を挿入(図2)して胸部の喀血原因血管にだけ詰め物をして出血を止めるというものです。止血に関しては、原因血管にプラチナ製の特殊なコイル(図3、4)を詰めていくのですが、こちらは極めて専門性の高い技術を要します。この技術は西日本では岸和田盈進会病院、東日本では東京病院が数多くの症例を経験しており、これらの病院と連携を保ちながら治療技術を共有するとともに当院でも同様の治療が受けられる体制を現在作っております。なお、上記施設の止血の成功率は1年後でも85~91%と報告されており、その成績はカテーテルデバイスやコイルの技術的進歩も相まって極めて高く、合併症もほとんどない安全な治療法となっております。

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    図1 3D—CT

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    図2 穿刺部位

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    図3 塞栓で使用するコイルの例

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以下に実際の喀血症例に対しての血管内治療の画像を示します。
症例は76歳女性で気管支拡張症に伴う繰り返す血痰・喀血症例での金属コイル塞栓術施行例です。

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    図4-1 治療前の血管造影

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    図4-2 治療後の血管造影

最後に

当院は、東京23区で唯一結核病棟を有する呼吸器基幹病院であり、上記の疾患を内科的に数多く治療しております。これらの疾患は慢性経過の方が多いため、長期の内科的管理が必要となってきます。自科で血管内治療を行うことで、その後継続する治療に関して一貫して患者さんの経過に携わる体制を作りだし、その後の喀血の再発予防に努めることが患者さんにとってよりよい治療を提供できるものと考えております。

そのための呼吸器intervention teamを結成し、喀血でお悩みの患者さんにより良い医療を提供させていただければと考えております。ご相談はお気軽に、当院呼吸器内科外来(代表:03-3202-7181 内線:3190)までご連絡ください。